アプリ開発はファミコンのソフト開発と似ている!? 累計100万DLに迫る"おっさん☆たまご"開発チームにお話を伺いました!
【株式会社comceptについて】
「ロックマン」「バイオハザード2」など、数々の大ヒットゲームを手掛けた「コンセプター・稲船敬二氏」がCEOを務めるクリエイティブ・カンパニー。ゲームアプリ開発も精力的に手掛けている。
元々コンシューマーゲーム畑のメンバーが開発した「おっさん☆たまご」がcomcept社ゲームアプリ第1号にして大ヒット!その秘訣を開発チームの方々に伺って来ました!
■「おっさん☆たまご」とは..?
今年4月にリリースされてから現在まで両OS累計100万DLに迫る大ヒットアプリです。たまごをゆでて、カラをむいて、おっさんたまご誕生、といった簡単な仕組みですが、カラをむく気持ち良さ、おっさんたまごのキモかわいさなど、随所に細かなこだわりが込められて開発されたゲームです。
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comcept Inc.
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おっさんたまご
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無料
※記事作成時のiOS版での情報を記載しています。
ファミコン時代のソフト開発と似ているゲームアプリ開発
---- コンシューマーゲームとアプリゲームの違いはどういった点でしょう?
コンシューマーゲームの場合はユーザーがお金を払ってソフトを買ってくれますよね。けっこうやる気で来てくれるので面白さが出てくるまでに時間があっても遊んでくれるのですが、無料ゲームアプリの場合、ちょっとでもストレスを与えてしまうとすぐやめちゃう。ゲームを起動してから、ユーザーが常に心地よさを感じられるように気を配っていますね。
---- 逆に共通点はありますか?
開発の面での話ですが、少人数で開発していたファミコンゲームの作り方と、アプリ開発って似ているんですよ。ゲーム作りで一番楽しかったのはファミコン時代だと思っているので、今はとても楽しいですね。
---- ファミコンゲームと似ているとは?
ファミコンは制限だらけだったんですよ。その制限の中で、どうしたら綺麗に見えるかといった工夫を色々考えてやってたんですよね。例えば、キャラクターを綺麗に見せる為に、プログラマーと相談して「こう動かしたらいいのではないか」「いや、こうしたら格好よく見えるんではないか」といった相談、というか喧嘩?(笑)をしてたんですね。そういった密な意見交換が楽しくて、みんなが良いものにしようと努力をした結果、後でこじれることもなくプロジェクトを進められてました。こだわるだけこだわるけど、開発期間も短いので、どうすれば早く進められるかということも頭使ってやってたなぁ。
「おっさん☆たまご」開発の契機
---- 「おっさん☆たまご」の企画はどのように生まれたのですか?
スマートフォンのゲームで、たまごを茹でてカラをむくゲームってないなぁ、って思いましてね、どうせならカラをむいたら何かが出てきたら面白いかなぁと。それで本屋にネタを探しに行ったところ「おじさん図鑑」という本に出逢いまして、『これだ!!』って思ったんです。
企画書の表紙を見たチームのメンバーも、「おっさんたまご」と書いてあるのを見て、『なんじゃこりゃ!?』となってですね、『何を考えてるんだ?』と。
で、ちょうどその頃は企画案をたくさん出している時期で、代表の稲船にプレゼンを良くしていたんですね、そのプレゼンの最後の方に「おっさんたまご」も差し込んでいたところ、稲船も『これだ!すぐやろう!』と、なったのが開発のきっかけですね。そこで正式タイトルも、☆マークを入れて、「おっさん☆たまご」に決まりました。
最初はイチオシではなく、ダークホース的な企画だったんですよね(笑)。
試行錯誤したポイント
---- 特にこだわって開発されたのはどのようなポイントでしょうか?
デザインが決まるまでが大変でしたね。最初はかなりシュールでリアルなビジュアルだったのですが、『これじゃほんの一部にしか刺さらないだろう』という話も多々ありまして、改めてどんなデザインにしようか、とあれやこれや考えましたね。
---- そんな中、デザインはどのように決まっていったのでしょう?
「屋台」というテーマを出したのが大きかったんです。試行錯誤していく中で「屋台」というテーマが出てきまして、そこから全体のデザインが上手くまとまっていきましたね。企画書の段階では、鍋で卵をゆでるところを実写調で表現していたんですけど、
それだと色々な画面を作った時に統一感がなくなっちゃったんですね。そこで「屋台」というテーマで世界観を固めていったところ、バシッとはまりました。
「屋台」というテーマによってデザインは統一された
---- デザイン以外の点でも何かポイントだった点はありますか?
少人数のいいところだと思うんですけどメンバーが近くにいるので、何かできる度に「こんなんできたー、見てみてー」といった軽いやり取りをしょっちゅうしていましたね。それによって短期間で良いものが作れたかなと。最初の頃はコンシューマーゲームのやり方に慣れていたので、各自こもってかなり作り込んだ後に確認というフローだったのですが、段々アプリの開発方法もブラッシュアップしていって、最終的には皆で意見を出し合いながら決めていく、というスタンスが形になっていきましたね。
"キモかわいい"が女子中高生にウケた
---- リリース後、ダウンロード数など反響はいかがでしたか?
ビビったなぁ。リリースした後すぐゴールデンウィークに入ったんですが、休み明けにデータを見たら、ゴールデンウィーク中に全体で3位、ファミリーとアドベンチャーで1位を獲得していて、、、
『10本出して1本当たればいいよねぇ』『そもそも当たるってどんなもん?』という感覚でいたので。
GW中にFamily、Adventureでは1位獲得(App Annie調べ)
---- 何かプロモーションは行ったのですか?
お金をかけたものは何もやっていないですね。無料で出来る範囲ではTwitterやFacebookに公式アカウントを作ったり、友達づてに口コミをお願いしたり、程度のことはしていましたが。
---- ヒット要因はなんだと思われますか?
まず、出したタイミングが良かったというのはあるかもしれませんね。
加えて、メインのユーザーである女子中高生の口コミなんかが大きかったと感じています。TwitterやFacebookで広めてね!というアピールが功を奏したのかな、と。
また「タイトル」がユーザーに響いたのではないかとも思ってますね。キャッチーなタイトルによって「まずは触ってみる」という入口を作れて、そこから「面白いので人にすすめる」という流れが出来たのかなと。この「タイトル」と、ファーストタッチで面白いかも!と思ってもらえたことが非常に良かったですね。
あとは、"キモかわいい"のジャンルで競合するアプリがその頃なかったのかもしれません。ちょうど、隙間に入ることが出来たかなぁと。
Facebookではオリジナルのマンガ投稿も行っている
---- コンシューマーゲーム開発の経験が生きた点は?
丁寧に作らないとダメだっていうことは同じだったね。面倒くさいことをどれだけ丁寧にやるか。UI(ユーザーインターフェース)の設計だったり、ボタンを押した時の気持ちよさであったり、その辺りはコンシューマーゲームと共通する所が多いですね。そうした凄く面倒くさいことを面倒くさがらずにこだわった結果がダウンロード数にも繋がっていると思います。
もし丁寧に作っていなければ、同じ「おっさん☆たまご」というゲームでもここまでいかなかったのではないかな、と。
開発側が楽しんで行っていったアップデート
---- ゴールデンウィーク後(ランキングが上昇した後)の対応はどのようなことを?
ユーザーの声がたくさん入ってくるようになったので、それを拾って改善に努めました。もちろんユーザーが言った通りではなくて、例えばユーザーはAが欲しいと言っているから、Aを実現させる為にAも含みつつ、さらにいい要素も加えたBを作ろうみたいな、そんな感じの改善ですね。
---- 機能追加時もユーザーの反響はありました?
ありましたねぇ。そもそもユーザーの反響の前に僕たち自身が楽しんでいましたね。「新しいおっさん」や「新しい声」といったコンテンツ自体に自分たちが大喜びしていました(笑)
---- 収益面の考え方は?
特に収益目標はなかったんですね。初の自社ゲームアプリだったので、課金の点など、とりあえず色々な数値がテスト的にとれればいいなと。
ただ広告を入れてみよう、というのは初めからありました。これは思っていた以上に収入がありましたね。あくまで"思っていたよりは"ですけどね(笑)
気持ちいいゲームとは、"何も感じないゲーム"
---- 他社アプリで参考にしている点などありますか?
しょっちゅう色々なアプリを見て参考にしてますね。例えばどんなボタンにしたらユーザーは分かりやすいのか、であったり、細かな部分は良く見ています。ハマるゲームはやっぱり気持ち良さがあるものだと感じています。このゲームは何が気持ちがいいのかなぁ?という点から観察していますね。
----"なんか気持ちいい"とはどんなものなんでしょうね?
何も感じないんですよ、気持ちいいゲームって。これいいなぁと思うものって、案外途中でしつこく感じてしまったりするんですよね。逆に何かストレスがあっても駄目で、この「何も感じない」というバランスがスマホゲームで非常に重要なところだと思いますね。とても難しいですが。
---- おっさんたまごの気持ち良さ追求ポイントは?
ゆでたまごを作る工程や、後はやっぱりカラをむくところですね。そこは最後の最後までバランスを調整していました。リアルなカラむきを再現すれば面白くなる訳でもないですから、むきやすくするのか、むきづらくするのか、このバランスは本当にこだわりましたね。
ゆでたまごのカラをむいたらおっさん登場
---- 最後に「おっさん☆たまご」の今後の展望をお聞かせください。
グッズ展開の話などが、、、来ないんですよ!(笑) そこそこイケると思いますよねぇ?何で話が来ないんでしょう。来なくていいの?という話はしているんですけどね。リアルへのコンテンツ化は是非ともやっていきたいので。
アプリの展開としては、「おっさん☆たまご ~怒りの脱出~」「おっさん☆たまご ~怒りのアフガン~」などなど、、、というのはウソで(笑)スピンオフ展開のカメラアプリ「おったま☆キャメラ」を9月にリリースしました。
さらに、さらに"おっさん"シリーズ第2弾『つめこめ☆おっさん』(iOS版)を配信開始しました!
Android版も近日配信予定です。
ぜひさわって、遊んでみてください!
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おったまキャメラ
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※記事作成時のiOS版での情報を記載しています。
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comcept Inc.
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つめこめおっさん
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※記事作成時のiOS版での情報を記載しています。
■筆者:
福島智晴(ふくしまともはる)
アプリ・Webデベロッパーの収益支援事業を行う、ライヴエイド株式会社General Manager。
ネット広告代理店、アプリ開発事業、アドネットワーク事業の経験から、広告マネタイズを中心にデベロッパーの収益拡大サービスを構築。2013年6月に全面型アドネットワークAID(エイド)をリリース。
・全面型アドネットワークAID(エイド): http://www.aid-ad.jp/
・ライヴエイド株式会社公式WEB: http://www.facebook.com/LIVEAID.inc
・Facebookアカウント: http://www.facebook.com/tomoharu.fukushima
・Twitterアカウント: https://twitter.com/haltoomo
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