ランキング上位の秘訣は「タイトルとアイコン」。大ヒット脱出ゲーム「あいつ勇者やめるって」<開発者インタビュー>
2014年1月某日、「あいつ勇者やめるって」で大ヒットを飛ばしているHappyHoppyHappyさんのインタビューに行って来ました!
謎に包まれていたそのチーム体制やアプリの開発秘話など、諸々お話頂いちゃいました。
ちなみに本日お話をお伺いした方はエニム・ゥーさんといいます(笑)。
-
HappyHoppyHappy Co.,Ltd.
-
脱出ゲーム「あいつ勇者やめるって」
-
無料
※記事作成時のiOS版での情報を記載しています。
HappyHoppyHappyってどんな人たち?
---- はじめまして!本日はよろしくお願い致します。まずはじめに、HappyHoppyHappyさんのメンバー構成を教えていただけますか?
エニム:私が企画でエンジニアのスミスという人間とデザイナーのピョロ・ッシュで弊社は3人でやっています。
---- ・・・スミス? ピョロ・ッシュ??
エニム:ピョロ・ッシュはロシア系でスミスはアメリカ系なんです。
私はポムポムプルクン王国から来たエニム・ゥー!(笑)
※ゲーム中に「エニム・ゥー」さんの名前が刻印??
---- HappyHoppyHappyとはどんなアプリ開発チーム?
エニム:自分たちが面白いと思えるものを作りたい、そしてみんなの記憶に残るようなものを作りたい、何年も経ったときにあんなアプリがあったようなぁと言ってもらえるようなアプリを作りたい、と思っています。
---- いつから活動されていらっしゃいますか?
エニム:会社の設立は去年の10月半ばです。
---- 元々カジュアルゲーム中心というお考えでしょうか?
エニム:ゲームが一番とっつきやすいとは思っていますが、そこだけに絞っているわけではないですね。
ゲームは好きなので他社のカジュアルゲームもよくやっていますね。
---- どんなアプリをやっていたんですか?
エニム:よくやったゲームはアングリーバード。
キャンディクラッシュも全クリしちゃうほどやりましたね。しかも無課金で(笑)
---- 立ち上げ当初はどんな感じでしたか?
エニム:思った以上にチームに会話がない..(笑)というのが新鮮で。
これまで携わっていた組織だとMTGなどの数が多く、話さないと仕事って進まないのかなと思っていましたが、3人になってみると、まず私が企画を書いてそれを2人に渡すと、特に質問もないまま、10日から2週間程すぎて、モックが上がってきて、そのままアプリが出来上がっちゃう、といったような。
なんだろう、この奇跡は!?と(笑)。
----エニムさんはどのように他メンバーに企画を伝えるのですか?
エニム:エクセルとパワポで構成案を作成します。
脱出ゲームであれば、こういうステップでこういう謎解きがあってとか、この謎解きはこんなデザインで、など。
パワポで簡単な図形など描いたものから、キレイなデザインが出来上がってまとまって出てきますね。
それでそのままアプリ出来ちゃった、といった形で。
---- そんなに簡単に出来てしまうものなんですかね?
エニム:2人のスキルが高いのと、察する能力が高いのかな。割と3人でイメージはズレないですね。
---- エニムさんの構成案のレベルが高いのですね
エニム:いや、多分そんなことも無いですね(笑)。
私も資料で細かく定義していないところは「それどうなってんの?」とか「エラー処理どうする?」みたいなやり取りが発生するものと思っていたのですが(それが来たら回答すればいいや的な)、エラー処理など忘れているものは全てスミスアレンジで追加していてくれて、実際にそれをプレイしてみると確かに面白くなっているので、とても助かっています。
---- 素晴らしいチーム体制ですね。アプリ1本あたりどの位の期間で開発されていますか?
エニム:2週間~4週間ぐらいですね。企画はそれに並行して走っていたりしていますが。
ちなみにCocos2dxで作っているので1つのコードで両OS対応出来ますね。
---- それぞれで意思決定されているイメージですか?
エニム:デザインなどは私自身が分かる人間ではないので、だいぶピョロ・ッシュにクリエイティブディレクションは任せちゃっている感じですね。
その為、戻ったり詰まったりというのがないので、常に全力疾走ですね。
---- 逆に何か衝突したり、詰まってしまうことはありますか?
エニム:私が会社をもっとコストの安いところにしたい、という話をする時かなぁ。
タイに行きたい、ベトナムに行きたい、みたいな話をすると2人にはかわされちゃいますね(笑)。
そこぐらいですかねぇ。
「勇者やめるって」の企画は熱海で生まれた!!
---- このアプリの企画はどんな形で?
エニム:弊社としてもアタリを出さねばならないというスタート地点から、今人気が出やすいアプリのカテゴリって何かな?とマーケットを見ていて「脱出ゲーム」に注目したんですね。
多くの開発者さんが作っていてそれぞれヒットしている印象がありまして。
それで1ジャンルとして脱出ゲームにチャレンジしてみようと。
---- なるほど。企画はどのように練っていったんですか?
エニム:元々その時、3人熱海で1泊2日で企画合宿をしてたんですね。
初日は全員がそれぞれ企画を作って翌日ちっちゃいプレゼンを行って点数をつけて選ぼうか、といったような。
その中で私が「脱出ゲーム」のカテゴリはアリかな、と思ってまして。
そこに「ドット絵」というジャンルもひとついいかなと。
それまで脱出ゲームは3Dで美麗なものが多かったので、それとは違うものをと考えたときに「ドット絵」がひとつあるかなと。
で、ドット絵にするんだったら「勇者」がいいかなぁ、と。
以前にスミスが中二病とかファンタジーっぽいものをやりたい、とも言っていたのでその影響も受けましたかね(笑)。
※脱出ゲーム×ドット絵という新発想
---- なるほど。熱海で生まれたんですねぇ。
エニム:はい熱海で。
平日の安い時に1泊2日で行きまして。
他の宿泊客は私たちの2倍ぐらいの年齢の方ばかりでした(笑)。
---- 企画合宿はよくされるのですか?
エニム:いや、その一度きりです。時間もなくて(笑)。
---- でも大成功でしたね。
エニム:はい、初日チェックインしてからPC開いて無言でそれぞれ企画を考えて、夜はバイキングと飲み放題でしたが、まだ企画しなきゃだからとお酒を控えながら夜中も企画して温泉入って寝るといった感じで、あ、徹夜はしなかったですね。
---- その合宿で企画はストンと落ち着いたのですか?
エニム:実は、私はそれほど脱出ゲームをおしていなかったんですが。
自分で案を出しておきながら何か違うものを作りたかったんですが、蓋を開けてみたら他の二人も脱出ゲーム好きだし、みたいな感じでやってみてもいいかなぁと。
---- 企画の方向性が決まった後は?
エニム:そこから私が企画を詳細化してどういう謎があってというのを作りまして、リサーチも含めてやっていたのでそこに1週間ちょっとぐらいかかりましたね。
---- 脱出のネタは大変ではなかった?
エニム:そのときは大変ではなかったですね、ボリュームも大きくなかったので、今回続編を作っているときの方が大変でしたね。
---- カジュアルゲームの中で脱出ゲームの方が企画が大変なイメージがあるが
エニム:他のものと比べると、工数的には変わらないですかね。
アクションゲームなどレベル設定があるものの方が手間がかかったりするので。
---- こちらも2週間ほど開発完了ですか?
エニム:3週間ぐらいで、こちらもスムーズにいきましたね。
デザインは作らなければいけない物量が多かったので大変そうでしたね。
---- 続編を準備されていると伺いましたが..
エニム:ヒットしたら次回作もやろうかなぁと、ゆるーく考えていまして、1の方の終わり方も2を匂わせるようなエンディングにしていたんですけれど、自分としては2週間もたつと忘れてしまっていて、こんなのエンディングにあったっけ?といったような(笑)。
リリース後の状況
---- リリース後のダウンロード状況を教えてください
エニム:バージョン0.1からリリースして知り合いにテストしてもらおうかな、というタイミングだったのですが、リリース翌日ぐらいに早くもレビューサイトさんで攻略記事をアップしてくれていまして。
そこからダウンロードは伸びていきましたね。
---- バージョン0.1からリリース、というのはいつもそうなんですか?
エニム:はい、いつもそうなんです。
誰の目にも触れない方かと思って出しちゃっているんですけども、ちゃんとリリースしてみて動きは大丈夫か確認したり、知り合いにプレイ・フィードバックもらって修正に活かすなどを行っていますね。
ただ、勇者の場合は思いのほか早くにヒットが出てしまい、今後はあまり中途半端なものを出すのは考えなきゃいけないなと。
---- 知り合いの方のフィードバックで実際に反映させたものは?
エニム:最初の勇者の部屋が難しくて出れないという話もあったので、本来ヒントは大きい部屋からだったのですが、最初の部屋にネコちゃんを追加して、ネコちゃん喋っちゃうけどいいかって言ってヒントを慌てて追加しました。
リリースしてすぐの1週間後ぐらいですね。
---- バージョン1.0になってからはどんなことを?
エニム:プロモーションを少し行った後、ランキング上位にいけたので、そこから色々なメディアさんなんかが取り上げ始めてくれて、その記事からの流入は助けられたところがありますね。
---- 一番効果が高かったのはなんでしたか?
エニム:紹介動画ですね。
かなり勢いがありました。
ただ何故かAndroidの方が大きく反応していました。
動画って海外だと広告枠としてもバイラルの方法としてもメジャーなんですけど、日本ってそんなに見られるのかなぁ、というのはありましたが。
---- 工夫されているマーケティングはありますか?
エニム:タイトルやアイコンはよく考えますね。
キャッチーなものになるように。
後は地道なレビュー依頼とかですかね。
やっぱりランキングが上がった時にどれだけ上位をキープできるかは、タイトルとアイコンの力だと思いますね。
今回の勇者は踏ん張りましたねぇ。
---- アイコンとタイトルはどのように作られたのですか?
エニム:2人のスキルが高いのと、察する能力が高いのかな。割と3人でイメージはズレないですね。
---- そんなに簡単に出来てしまうものなんですかね?
エニム:タイトルは閃き系ですね(笑)。
パッと聞いたときに、耳に残るようなものを作りました。
---- ずばりヒット要因は?
エニム:脱出ゲームはやはり皆さん好きなようですね。
あと思っていた以上にドット絵が好まれているのかなぁと。
デザインも重要だったと思いますね。
一番これすごいなぁ、と思ったのはドット絵のネコが凄いかわいくって。
はじめはドット絵のネコなんてかわいくなりようがないでしょ、と思っていたのですが、ものすごくかわいかったんですね、どこにでもデザインの神様は宿るんだなぁと。
ピョロ・ッシュは昭和テイストが得意でドット絵が得意というのは聞いたことがなかったんですが。
最後に
---- 今後のHappyHoppyHappyについて
エニム:デザイナー視点でいくとオリジナルなキャラクターで勝負していきたい、という話なのですが、弊社の顔となるようなキャラクターを作ったり。
企画としては、脱出ゲームも違ったテイストのものも作ってみたいですし、脱出ゲームだけではなく育成系もやってみたいですし、けっこう絞らずになんでもやってみたいですね。
なので、勇者は気に入って頂いたので、同じ会社がやっているというテイストを入れつつ違うものも作っていきたいですね。
---- エニムさんの企画発想術を教えてください
エニム:まずは世の中的にいいとされているものは全部やろうかなと思っていますね。
すでにあるいいものを知って、そこから自分たちのオリジナル、という考えをした方がいいと思っています。
アプリやコンシューマーゲームだけでなく、Webサービスなんかもチェックして色々なところに触れるようにしていますね。
いざアプリを作ろうという前段階では、その領域のアプリのいいと言われているものを片っ端から触ってみて自分の引き出しを増やしてから取り組むようにしていますね。
---- 以上でございます。お忙しいところありがとうございました!
※「勇者やめるって」続編近日リリース!?
-
HappyHoppyHappy Co.,Ltd.
-
脱出ゲーム「あいつ勇者やめるって」
-
無料
※記事作成時のiOS版での情報を記載しています。
アプリ開発者取材先募集中!
今回のHappyHoppyHappy様のような取材先を募集しております!ご希望の方は、どんなアプリをどんな想いで創ってきたのか、等の簡単なご紹介を添えて以下のメールアドレスまでご連絡頂けますと幸いです。
【取材記事担当】福島 fukushima@live-aid.jp
■筆者:
福島智晴(ふくしまともはる)
アプリ・Webデベロッパーの収益支援事業を行う、ライヴエイド株式会社General Manager。
ネット広告代理店、アプリ開発事業、アドネットワーク事業の経験から、広告マネタイズを中心にデベロッパーの収益拡大サービスを構築。2013年6月に全面型アドネットワークAID(エイド)をリリース。
・全面型アドネットワークAID(エイド): http://www.aid-ad.jp/
・ライヴエイド株式会社公式WEB: http://www.facebook.com/LIVEAID.inc
・Facebookアカウント: http://www.facebook.com/tomoharu.fukushima
・Twitterアカウント: https://twitter.com/haltoomo
この記事はどうでした?